「わたしを裏切ろうとしている」

 日没後に始められたこの正式な会食の途中で、イエス様は突然12人の弟子達に向かい「あなたがたのうちの一人が私を裏切ろうとしている。」と言われました。一瞬、時が止まったような、重い沈黙が流れたことでしょう。そしてその沈黙に耐えられず誰かが口を開いて「主よ、まさか私のことでは」と一人がいうと、他の人もかわるがわる言い始めました。自分は裏切らないと思いつつも、イエス様に私ではないと念を押してもらわなければ不安な弟子達の姿が伝えられています。人間は誰でも裏切る可能性を持っているということです。ペテロが「たとえ、ご一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません」(35節)と大変頼もしい返事をしたにもかかわらず、三度もイエス様を知らないと言った話はあまりにも有名です。