困難を自ら招く

 三つ目に挙げられるサウルの姿は、困難を回避するどころか困難を自らに招き込むものでありました。ペリシテ人との戦いからサウル王とダビデが一緒に凱旋した時に、出迎えた女性達は楽を奏しながら「サウルは千を討ち、ダビデは万を討った」と歌ったというのです(18:7)。サウルはこれを聞いて激怒し、悔しがって「ダビデには万、私には千。あとは、王位を与えるだけか」(同8節)と言ったというのです。自分のことしか見ることが出来ない。その結果、無益な比較を他者としてしまいます。嫉妬がはらみ、やがてその嫉妬は人への恐れ(この場合はダビデへの殺意)を生むに至っています。それをサウルの人生は教えるところとなっております。