はじめに

 使徒であるステファノは、霊と知恵に満ちた評判の良い人であり、また、恵みと力に満ちており、すばらしい不思議な業としるしを民衆の間で行っていました(6:3、8)。ある日、ユダヤ人の会堂でステファノが宣教していた時、その話を聞いていたこの会堂に属する人々と、キリキア州とアジア州出身のある者達が議論をしかけてきました。旧約聖書の預言がイエス・キリストにおいて成就したというステファノが語る福音は、そのように旧約聖書を読んだことのなかった彼らには、受け入れ難かったのでしょう。彼らは人々をそそのかしてウソの証言をさせ、さらに人々を扇動してステファノを襲って捕らえ、議会に引いて行きました。
自分達の方が正しいと思い込み、それゆえにイエス・キリストの真理を誤解し、非難し、手段を選ばず力ずくで相手をねじふせようする彼らの姿は、聞く耳を持たない人間の姿そのものです。