イスラエルの歴史は、始祖アブラハムから

 ステファノは議会に召集されたユダヤ人達に向かって、まずアブラハムに目を向けるように語りました。創世記12章にはアブラハムがハランにいた時に神様の声を聞いたことが記されています。アブラハムは神様の語りかけに従い「生まれ故郷・父の家を離れて、私(神)の示す地に行」きました。それは行く先を知らないままの出発でした。15章では神様が「私はあなたをカルデヤのウルから導き出した主である」と呼びかけています。


ステファノは「神様が、我々の先祖アブラハムに声をかけられた。そこからすべては始まり、そのことから今日の我々がある」と伝えたのです。アブラハムと妻サラの間には子供がいませんでしたが、神様はカナンの地を子供のいないアブラハムに与えて、子孫に相続させると約束されました。アブラハムが信仰の父といわれるのは、彼が神様の言葉に従って家を離れ、子供がいないのにもかかわらず、子孫への約束を信じたことにあります。神様は、アブラハムの子孫が将来外国に移住し、奴隷として虐げられ、400年の奴隷の時代の後、その国から脱出して、再びこの場所で礼拝をするとアブラハムに告げられました。


神様とアブラハムの間に契約がたてられます。それはアブラハムを「多くの国民の父」として繁栄させ、カナンの土地を与え、神様が彼らの神となるゆえに、その「しるし」として、アブラハムの民のすべての男子は、生まれて八日目に「割礼を受ける」という契約でした。 ユダヤ人がその権威を守ろうとしている「律法」や「神殿」は、アブラハムの時代にはなく、アブラハムに与えられたのは、「将来この場所で礼拝する」という神様の約束と「割礼」による契約であること、この契約は、族長(民族の長)アブラハムから(族長)イサクへ、そして双子の弟である(族長)ヤコブに継承され、ヤコブの12人の息子達すべても生まれて八日目に割礼を受けたことをステファノは議会で語りました。