自己保身

 フェストゥスは、自分がパウロを釈放すれば、ユダヤ人指導者層を赴任したばかりで敵に回すことを覚悟しなければならないことを察知し、「自分はあなた達の敵ではない」とユダヤ人にアピ−ルする為、彼らの願い通り、エルサレムでの裁判の道を開こうとしたのでしょう。


 二人の総督に共通しているのは、「白を白、黒を黒」と言わない生き方を選んでいるということです。パウロの無実を知りながら、ユダヤの統治がやりにくくなることを恐れ、ユダヤの指導者層を自分の側にとどめておくための方策を優先させたのです。それは無難に任務を果たす為、自分の生活の安定の為、言いかえれば自己保身のためでした。