はじめに

パウロは自分のことを、多くの手紙の最初の部分で次のように紹介しています「キリスト・イエスの僕、神の福音のために選び出され、召されて使徒となったパウロ」「神の御心によって召されて使徒となったパウロ」「人々からでもなく、人を通してでもなく、イエス・キリストと、キリストを死者の中から復活させた父である神とによって使徒とされたパウロ」「私達の救い主である神と私達の希望であるキリスト・イエスによって任命され、キリスト・イエス使徒となったパウロ」「キリスト・イエスによって与えられる命の約束を宣べ伝えるために、神の御心によってキリスト・イエス使徒とされたパウロ」などです。
パウロはどこにいても、どんな状況下にあっても、イエス・キリストのことを宣べ伝えるという自分の使命、自分の務めを忘れることがありませんでした。振り返れば、第3回伝道旅行を終えて報告の為エルサレムに戻り、神殿にいた時、パウロは敵意を抱くユダヤ人によって拉致され、裁判は受けられたものの、それ以来自由は失われたままです。今回囚人としてローマに護送され、暴風や難破をくぐりぬけ、ようやく長旅が終り、宿舎に着きました。心身ともに、数日の休養を必要としたでありましょう。しかしパウロは到着後、一日おいた翌日には、もうローマ在住のユダヤ人の指導者達を彼の宿舎に招いています(17節)。このことを見ても、パウロは、与えられた自分の人生の時間もエネルギーもすべて、使徒とされた自分の使命・役割を果たす為に、忠実に用いていたことを知ることが出来ます。