はじめに

 日本基督教団では、8月の最初の日曜日を「平和聖日」と定めて、平和について考える時としています。個人的なことで恐縮ですが、私は終戦の前年に満州で生まれ、母は病の中、姉と私を連れて引き揚げてきました。後に多くの中国残留孤児をテレビなどで見聞きし、自分もその一人になる可能性があったことを思い、戦争が一人一人の人生に大きな影響を与えていることを実感しました。今なお世界各地で起こっている戦争が、人々に分裂、憎しみ、愛する家族との死別・離別を引き起こしながら、それでも話し合いによる解決が困難になっている現実を思い知らされています。戦争は、神から与えられた人間の自由意志によって起こされます。国と国、民族と民族、思想・宗教などの衝突から生まれ、その背景に、それぞれの自己主張、自己正当化、自己絶対化があります。戦争のある世界は平和から程遠いものですが、それでは日本は68年間、戦争はないので、「日本人はみな平和に生きている」といえるでしょうか。