15章1−20節

1 そのころ、ファリサイ派の人々と律法学者たちが、エルサレムからイエスのもとへ来て言った。

2 「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人の言い伝えを破るのですか。彼らは食事の前に手を洗いません。」

3 そこで、イエスはお答えになった。「なぜ、あなたたちも自分の言い伝えのために、神の掟を破っているのか。

4 神は、『父と母を敬え』と言い、『父または母をののしる者は死刑に処せられるべきである』とも言っておられる。

5 それなのに、あなたたちは言っている。『父または母に向かって、「あなたに差し上げるべきものは、神への供え物にする」と言う者は、

6 父を敬わなくてもよい』と。こうして、あなたたちは、自分の言い伝えのために神の言葉を無にしている。

7 偽善者たちよ、イザヤは、あなたたちのことを見事に預言したものだ。

8 『この民は口先ではわたしを敬うが、/その心はわたしから遠く離れている。

9 人間の戒めを教えとして教え、/むなしくわたしをあがめている。』」

10 それから、イエスは群衆を呼び寄せて言われた。「聞いて悟りなさい。

11  口に入るものは人を汚さず、口から出て来るものが人を汚すのである。」

12 そのとき、弟子たちが近寄って来て、「ファリサイ派の人々がお言葉を聞いて、つまずいたのをご存じですか」と言った。

13 イエスはお答えになった。「わたしの天の父がお植えにならなかった木は、すべて抜き取られてしまう。

14 そのままにしておきなさい。彼らは盲人の道案内をする盲人だ。盲人が盲人の道案内をすれば、二人とも穴に落ちてしまう。」

15 するとペトロが、「そのたとえを説明してください」と言った。

16 イエスは言われた。「あなたがたも、まだ悟らないのか。

17 すべて口に入るものは、腹を通って外に出されることが分からないのか。

18 しかし、口から出て来るものは、心から出て来るので、これこそ人を汚す。

19 悪意、殺意、姦淫、みだらな行い、盗み、偽証、悪口などは、心から出て来るからである。

20 これが人を汚す。しかし、手を洗わずに食事をしても、そのことは人を汚すものではない。」