使徒の選出

 次に聖書が伝えるのは、120人ほどの人達が集まっている中での、ペテロの発言です。この群は生前のイエス様に出会い、信仰を与えられた人達の群です。彼らに向かってペテロは、イエス様の直弟子として12人が選ばれたが仲間の一人・ユダは不本意な死に方で死んでしまった。それゆえ、ユダの代わりに使徒を一人補充すべきである、と語りました。イエス様が選ばれた「12」という数を、必要な大切な数と考えたのです。

 まず使徒の条件が出されました。「イエス様の生存中、さらに復活・昇天にも共にいた者」という条件です。イエス様の言動をつぶさに見てきた使徒が、神の恵み、神の国について明らかにされた内容を、これから大胆に伝えていくのです。二人の候補者があげられました。一人でなく二人の候補者をたてたのは、人間の熟慮と決断だけではなく直接に神様の導きが働く余地を残すとの考えからです。そして彼らは祈りました。「すべての人の心をご存じである主よ、この二人の内のどちらをお選びになったかを、お示しください。・・」

 使徒の仕事は、その人の内側の心にかかっています。内側を見ることのできるお方は神のみです。弟子達はどちらを神様が使徒として召されるのかを問う為に、当時の方法であった「くじ」がひかれ(箴言16:33)、くじはマティアにあたりました。こうして、離れてしまったユダの使徒としての任務はマティアに引き継がれることになりました。