大きな苦難

 今日の聖書では不可思議な言葉が出てきます。「憎むべき破壊者」「山に逃げろ」「下に降りるな」「物を取りに家に戻るな」「身重の女と乳飲み子を抱えた女は不幸だ」「このことが冬に起こらないように祈れ」など・・。
この意味を理解するため、先週の礼拝で学んだ「神殿奉献祭」の起源ともなったマカベア戦争についてお話したいと思います。

エス様が生まれる160年程前アンティオコス4世(エピファネス)がユダヤ地方を治めることになりましたが、彼はギリシャ・ローマの神々への信仰をイスラエルの民にも強要し、エルサレム神殿にゼウスなどの偶像を入れて、それを拝ませました。偶像礼拝を避けていたイスラエルの民にとり、それは赦しがたい冒涜でした。「憎むべき破壊者」は、多神教の偶像、又は異民族の支配者のことです。彼は残虐にも都を破壊し、火を放ち、民を殺害し、武力で支配しました。「家に戻るな」は、焼き尽くされる町の巻き添えになって殺されるからです。立ち上がったイスラエルの人々は、山にあるエルサレム神殿で祈ってから戦いを挑み、抵抗運動が成功したことが背景となり、「山に逃げる」という表現になっていると思われます。さらにアンティオコス4世は、安息日や割礼などの律法を守る者の処刑を命じました。割礼は幼児に施されたこと、又、冬の戦いで餓死者が多く出たことなどから、「身重の女と乳飲み子を抱えた女は不幸だ」「冬に起こらないように祈れ」と、勧めているように考えられます。

エス様は、あのアンティオコス4世の時よりも尚、大きな苦難が来ることを預言されました。それはかなり絶望的で覚悟のいることです。しかしその絶望の極みの時でも、イエス様が御自分の者として選んだ者の為に、苦難の期間を短くし、救われる者がいるようにすると約束されました。それは、主を信じる者にとっての大きな希望であり、救いです。