はじめに

 40年位前の話ですが、野村監督が南海ホークスの捕手をやっていた時の日本シリーズ(対巨人戦)の巨人が三連敗した後の試合の時です。この試合でも南海が勝っており九回のツーアウトまでいき、この打者であと一球ストライクをとれば終り!という時でした。外国人投手が見事なアウトコース低めいっぱいの球を投げ込んだのです。テレビ観戦の私もストライクと感じれる球でした。球を受け取った野村捕手は立ち上がり、もうこれで試合終了という雰囲気でした。ところが審判が「ボール!」と言ったのです。投手も野村捕手も審判に激しく抗議しましたがボール判定は覆らず試合は続行となりました。その後、投手はストライクが入らなくなり打者は痛烈なヒットを打って、そこから巨人は息を吹き返し、その試合に巨人は勝ちました。後で野村監督は何かに書いていました。「あの時僕が悪かった。ストライクだ!試合終了だ!と思って腰を浮かせてしまった。もっとじっくり腰を据えてボールを受けとっていたら、審判もストライクだと判定出来ただろう」と。