たとえ

 このあとイエス様は一つの譬え話をされました。それは王様と借金を返せなくなった家来の話です。家来は多分地方長官と考えられ、集めた税金の一万タラントを使い込んでしまったと考えられます。当時、ガリラヤとベレアを治めていたヘロデ・アンティパスが受け取った年貢は200タラントといわれ、父ヘロデ大王でも年収900タラントといわれますから、一万タラントはヘロデ大王の年収の10年分以上の額にあたります。この莫大な借金をした家来が返済出来ないことを知った王様は、全財産を処分し、家族を奴隷に売って、ともかく返済するように命じました。(当時、奴隷は一人500デナリオンと言われました。1デナリオンが当時の1日分の賃金で、1タラントは6000デナリオン)。返済出来ない家来は王の前にひれ伏し、待ってくれるように嘆願します。王様は「憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにして」(27節)あげました。投獄を免れ自由が保証された上に、全部の借金が返済免除になったのですから、ものすごい事がここで起こったということです。