仲間を赦さなかった家来

 たとえに登場する「家来」は、一万タラントという借金に真剣に向かい合わなかったゆえに、自分が赦されたことの背景にある「王様の大きな大きな憐れみと恵み」に鈍感になって、わずか100デナリオン(自分の借金の60万分の一)の貸しを赦そうとしませんでした。
 振りかえって見ると、私達人間は、自分の利益や名誉が損なわれると怒り、正義と裁きを要求します。何かあれば当然のように隣人につぐないを要求します。自分の権利が失われることに敏感です。人を赦すことがなかなか出来ません。私達もこの家来のように、人に貸していることは忘れず、自分自身に「無罪放免」が与えられた事実を忘れています。