はじめに

 パウロは自分を、「アブラハムの子孫であり、生まれて8日目に割礼を受け、ベニヤミン族の出身でヘブライ人の中のヘブライ人です」(フィリピ3:5)と紹介し、更に、「私は先祖からの伝承を守るのに 人一倍熱心で、同胞の間では同じ年頃の多くの者よりも、ユダヤ教に徹しようとしていました。」(ガラテヤ1:14)と記しています。ヘレニズム文化の都市・タルソスで成長し、ギリシャ語に堪能でローマの市民権をもつ彼は、エルサレムの有名な律法の教師ガマリエルの門下生として、熱心なユダヤ教徒でした。