「生ける神」

 生ける神とは「天と地と海と、その中にある全てのものを造られた神」(15節)のことです。この神様と比べるなら人間の手による偶像は無の世界、死の世界に属します。生ける神様は、異邦人にはこれまで彼ら自身が悪の道を歩むに任せておられたので、異邦人は、神について勝手に自分達で考え出した宗教を作り、空しい偶像を作り出しました。しかし神様は異邦人にご自分を現す手段として、天から雨を降らせ、雨と共に土を豊かにして実りの季節を与え、食物を得ることによって彼らの心を喜びで満たして、神様のいつくしみを表わしてきました。この、心に喜びが与えられるという神様のいつくしみの業こそ神様のしるしであるから、今こそ空しいことを捨て去り、パウロ達を神々として祭るような、馬鹿げた愚かな、古い宗教に終止符を打ち、生きて今も働いておられる神様に立ち帰るよう説得したのでした。