はじめに

 今日の聖書は、当時、イスラエル社会で尊敬されていたファリサイ派と律法学者達が、イエス様の弟子達のあり方を見て、イエス様が、間違った教えを説いているとし、糾弾しようと質問したところから始まります。イエス様は彼らの質問に対して、旧約聖書の「イザヤ書」や「十戒」を取り上げながら、彼らの根本的な間違いを指摘しました。


 ファリサイ派達は、自分達を「選民・イスラエル」の民として「聖さ(きよさ)」を重視する余り、宗教上の儀式だけでなく日常生活にまで細かい規定を作り、それを「昔の人の言い伝え」として人々にも守るよう求めていました。しかしイエス様は、その「言い伝え」を守っている彼らの心は、旧約聖書の精神から離れ、もはや神様の御心に従うものではなくなっていることを見抜かれ、「あなた達は自分の言い伝えを大事にして、よくも神のおきてをないがしろにしたものである。」(9節)「あなた達は、受け継いだ言い伝えで神の言葉を無にしている。」(13節)と言われました。