子ろばと柔和

 イエス様一行がエルサレムに近づき、ベトファゲとベタニアの町にさしかかった時です。イエス様は弟子達に「子ろば」を連れてくるよう命じました。それは、ゼカリヤ書の預言に従って、メシアとして子ろばに乗り、エルサレム入城をなさる為でした。「子ろば」は頑丈だけれども体全体は小さくて、大人しい性格で、「高ぶることのない」(9節)身近な動物でした。又、預言では、エルサレムに来る王は「神様に従い、勝利を与えられた者」とされています。マタイ福音書では「柔和な方」とあります。どちらも、神様を頼りにして思い上がらない者です。「柔和」とは「貧しい、低くされた(申15:11、詩76:10)」から出た言葉であり、自己に頼らず、ただ神に信頼すること、他者に表わす謙遜(民12:3)を指し、神との関係の中で正しく自己を知り、それゆえに他者への関係を正しく知る者の有り様であって、キリスト者の貴い性質・態度として求められているものです。