ユダヤ教とキリスト教

 ユダヤ教で最も大切にされるのは「律法」です。律法を守ることこそ救いの道であり、天国に行く道でした。ユダヤ人の「シェマー」と呼ばれる基本的信仰告白は、「聞け、イスラエルよ、我らの神、主は唯一の主である。あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。」(申命記6:4−5)であり、神を愛することは、十戒を中心とした律法を守ることでした。

ところがキリスト教は、十字架で殺されたイエスこそ神から遣わされた神の子・救い主であり、神はこのイエスを死から復活させ、神の右に挙げられ、約束の聖霊を送って下さった。だから悔い改めて、イエスを「救い主」と信じる者は救われる。信仰こそ救いの道と宣べ伝えました。

律法を行うことで人は救われると教えてきたユダヤ教に対し、「イエスをキリスト(救い主)と信じることこそ神の国の民とされる道である」ことが宣べ伝えられたのです。

パウロは、(神を冒涜した罪によって殺された)イエスを、神の子と信じて、自分の全存在を支配する「主」として仰ぎ、従うように教えるキリスト教は、ユダヤ教の敵であり、撲滅すべき相手と考えて迫害したのです。その彼が、今や、「自分は母の胎内にある時から選び分け、キリスト教伝道者として外国人に遣わされている」と告白しています。