貧しいやもめ

エス様の目は、彼ら指導者達にではなく違う人々に向けられました。本来なら、救い主として、エルサレム神殿の中央に迎え入れられるはずのイエス様が、そこから外側の庭に向かって信仰者を探しておられたのです。そこには大勢の一般民衆がいて、特に献金を沢山して目立つ金持ち達が多くいましたが、イエス様が見つけて喜ばれたのは、献金額の多い金持ちではなく、その社会では軽んじられていたやもめ(未亡人)の信仰でした。

私達はイエス様の外の形に囚われない姿勢・考え方を知ることができます。
エス様が評価されたのは、一般民衆の中でも最も弱い立場にいる女性、貧しくて何の権力もない一女性でした。後ろ盾となるべき夫を亡くし、経済的に困窮していたと思われます。当時の社会では、彼女の存在すら無視されてもいいような女性でした。又、ユダヤ教では女性は神殿の中の「聖所・至聖所」に入れず、その外側に設けられた庭(女子の庭)迄でした。その庭にあった賽銭箱にはラッパの形を逆さにした金属製の容器が13個ついていて、各々に献金の用途が絵によって示されていたそうです。金属製ですからコインの量に比例した音が響きます。やもめの捧げたレプトン銅貨は最小単位のコインで、薄くて貧相であり、わずか2枚であれば、その音もかすかで頼りなげな感じだったでしょう。