はじめに

  過越祭は、イスラエルの民の「出エジプト」を記念する大事な行事です。神様は、奴隷として苦しんでいたイスラエル民族を、寄留地エジプトから脱出させる許可をエジプト王から出させるために、十の災いを起こされました。その最後の災いが「初子の死(家畜も含む初めての子供の死)」です。ユダヤ人はモーセからこの災いの避け方を知らされました。それは小羊の血を家の入口の二本の柱と鴨居に塗ることでした。この犠牲の血によってユダヤ人は初子の死の災いを過ぎ越すことが出来ました。一方エジプト人の家では、初子の死の災いを受けて、国中に嘆きの叫びが起こりました。王家も例外ではなく、王は初めてイスラエル民族が信じる神様の偉大な力を知らされ、脱出の許可を与えざるを得ず、イスラエルのエジプト脱出が実現したのです。「過越祭」とは、神様が、自分達を救い出す為に働いて下さったことに感謝し、「災いを過ぎ越された」恵みの出来事を決して忘れない為に制定された祭りであり、その後に行われる「除酵祭」も、エジプト脱出の際、パンに酵母を入れて発酵を待つ余裕はなく、膨らまない固いパンしか持っていけなかったことを記念する祭りとされています。