受胎告知

マリアの戸惑いの中、ガブリエルは「恐れることはない。あなたは身ごもって男の子を産む」と告げます。マリアはその預言に「どうして、そのようなことがありえましょうか」と答えます。実際には、まだ夫婦生活をしていないから、そのようなことはあり得ないとの、人間界の常識です。しかしガブリエルは、これは神の霊「聖霊」のなさる業であり人智を越えたことであると宣言し、その証しとして親類エリサベトの妊娠を告げます。(エリサベトは年をとり、妊娠適齢期を過ぎていた)。それを聞いて、マリアは、不妊の女と言われながら「約束の子、イサク」を神様から授かったアブラハムの妻であり、民族の礎となった「サラ」を思い出したかもしれません。
エリサベト妊娠の知らせは、マリアに、人間の知識や行動の限界を悠々と越えて、神様の恵みの業が我が身にも起こるのだ、ということを、理解させることになったでしょう。又、彼女に信仰の素養があったこともその理解を助けたことでしょう。「神にできないことは何一つない!」という言葉を、マリアは本当の意味で心から受け入れることが出来たと思います。そして自分に子が授かるという奇跡が起こり得ることを理解し、それが神様の選びであり恵みであるならば、人間として受け入れるしかない!「私は主のはしためです。お言葉通り、この身に成りますように」(38節)とは、マリアの信仰を表す言葉であり、私達の目標にすべき言葉です。