仕組まれた質問

 今日の聖書には、ファリサイ派の人々がイエス様をわなにかける相談をして、ヘロデ派と手を組んで、一つの質問をしたことが記されています。質問とは、「皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているか?」です。
どちらの答えをしても困るように仕組まれています。当時ユダヤはローマに支配されており、ユダヤ人は国内の為に神殿税を払っていましたが、その他にローマ政府に納めなければならない人頭税がありました。ところが、申命記17章にはユダヤ人以外の王を立ててはいけないと定められています。もしローマという外国の皇帝に税金を納めるなら、そこの王権を認めることになり、それは偶像崇拝者の仲間になることだと考えて、ローマへの納税は、自分達の良心が許さないと拒否する人々が多くいたようです。彼らはそのため、家や畑を没収されたりしました。一方、税金を納めている人達も、本当は納税すべきでなく、自分達は悪いことをしているという思いがあったようです。もしイエス様が、納税は「律法に適う」と言えば、納税を神の教えに背くものとして良心の痛みを感じている人々の気持はイエス様から離れます。逆に、税金を納めるべきでないと答えるなら、納税は国民の義務と考えるヘロデ派を前にして、ローマへの反逆者の烙印(らくいん)が押されます。