第二:ベタニヤでの出来事

 ユダがイエスを裏切ろうと決断する直前に、一つの出来事がありました。ベタニヤの女性がイエス・キリストの頭に高価な香油を惜しげもなく注いだ、という出来事です。非常に高価な香油でした。ユダは「なぜ、この香油を300デナリオンで売って貧しい人々に施さなかったのか」と非難します。換算するならば、十か月分の労働賃金に相当する額です。銀貨30枚に比べたならおよそ10倍、大きなお金です。貧しい人に施せば社会の為になる。今でいえば、経済的に困っている人を救済するなどの社会福祉活動が出来る、という主張であったでしょう。しかし、そのやりとりに対して、イエス・キリストは次のように言います。「この人のするままにさせておきなさい。私の葬りの日の為に、それをとって置いたのだから。貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるが、私はいつも一緒にいるわけではない。」