過越の食事

 この大いなる救いの出来事を子子孫孫にまで伝えるべく、イスラエルの民は毎年、家長を中心に過越の食事を通して先祖の体験を追体験します。ニサンの月(太陽暦では3月から4月)の14日午後、神殿でほふられた小羊を家庭に持ち帰り、日没と共に家の中からすべてのパン種を処分し、祝福を祈り、ブドウ酒を飲み、手を洗い、祈り、苦菜にハロセス(果実とぶどう酒を混ぜて作ったクリーム状のもの・・祖先が奴隷として粘土をこねた苦痛の象徴)をつけ、祈りの後に食し、酵母の入っていない3枚重ねのパン(苦しみのパン)を取り、エジプトでの祖先の苦難を偲び、真ん中のパンの半分をしまい、小羊の肉を取り祈りをささげ、ブドウ酒を注ぎ、子供達が過越の祭りの由来を質問し、家長がテーブルにある苦菜や肉の説明をします。そしてブドウ酒を祝祷し飲み、手を洗い再び祝祷し詩篇113篇114篇を讃美します。次にハロセスを付けた苦菜をパンに添えて食べ、小羊の肉を食べ、パンの半分を取り出し食べます。ブドウ酒を注ぎ感謝して飲み、4度目の杯をあげ、詩篇115編から118篇を賛美して終ります(新聖書大辞典参照)。この伝統は、民族の歩みと信仰をその心にしっかり刻んでいきます。