はじめに

 聖書においては、「契約」という言葉はとても大切な重要な言葉であり、旧約聖書のヘブル語原典には285回も出てきます。旧約聖書の「旧約」がそもそも「旧い(ふるい)契約」という意味なのです。契約は一人では成り立ちません。私達の社会では契約は人間と人間の間で取り交わされる約束です。旧約聖書では、人間の間の契約のほかに「神と人間との間」に結ばれる契約関係が存在します。神とノアの契約(創世記9章)、神とアブラハムとの契約(同17章)、十戒に代表される神とモーセを通して民と結ばれた契約(出エジプト記20章以下)など、イスラエルは神様との契約のもとで、神の民として、その歴史を歩んできました。