十字架刑の執行責任者としての百人隊長

 なぜイエスが十字架につけられなければならないのか。イエス・キリストは何を語り、何をしたのか。百人隊長はある程度承知していたでしょう。今日私達が聖書から教えられるイエス・キリストの姿をある程度理解していたと想像されます。しかも彼は現場責任者です。十字架刑を命じられて、それを責任をもって遂行しなければなりません。総督ピラトが、イエスがもう死んでしまったのかと不思議に思い、百人隊長を呼び寄せて既に死んだかどうか尋ねた(マルコ15:44)とあるように百人隊長はむごたらしい刑の執行責任者であり、彼を取り囲む群衆の注目を浴びていた者です。おそらく彼は全身の神経を働かせて、イエス・キリストの十字架を見つめていたことでしょう。その百人隊長が十字架上のイエス・キリストが大声で「わが神、わが神、なぜ、わたしをお見捨てになるのですか」と叫び、息を引き取る姿を見るや「本当にこの人は神の子だった」と語ったのです。