現実の世界で・・

 特に第二次大戦において、ヒットラーに対して抵抗したグループは、このことが大変重要なことでした。主イエス御自身「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」(マタイ22:21)と言っています。これも、服従の一つの限界をいっているのではないかと思います。国家が神の領域に入ってくるということについて、主イエスは反対されました。

 国家に対して私達は服従しなければならない。その理由は、神が立てられた、神の秩序であるから、ということです。しかし国家が善を勧めず、悪をこらしめない。むしろ悪を奨励するようなことがあれば、「人間に従うよりは神に従うべき」との聖書の言葉を拠り所に歩むしかありません。しかし、その判断は非常にむつかしく、ジャーナリズムが報道することを通して国家に反対するとか、行政に対して革命を恐れるとかいうのではなく、国家が神に立てられた機関として、秩序としてどうあるべきか、ということに対しては、教会としてではなく一人の市民として、あるいは市民グループの声として発言していくということになるでしょう。