はじめに

 今日の聖書の見出しには「ペトロの説教」とありますが、この説教は、ユダヤ教の五旬祭(ごじゅんさい)の祭りに集まっていたユダヤ人に向けて語られた、聖霊降臨(せいれいこうりん)後の[世界最初のキリスト教] 説教です。

聖霊降臨」という神様の約束の実現を目の当たりにした人達の反応は、しかし、二つに分かれました。一つの反応は、驚きとまどいながらも、なぜこのようなことが起こっているのか、と、その意味を知ろうとした人々です。そしてもう一方の反応は、外国語で話す弟子達を「酒に酔っている」とあざけり、それで片づけようとした人達でした。理性を重んじる人達にとって理性で理解できないことは、自分の側にではなく相手の側に問題があると考えます。聖霊を受けた弟子達の状況を見た時、彼らはそのことが理解できないゆえに、弟子達を酒に酔っていると判断したのです。