サタンの抗弁

 そのような議論は旧約聖書ヨブ記にもあります。神様の所にサタンがやってきて、神様と対話する場面です。神様がサタンに対して、「この世の中でヨブという人ほど立派な信仰を持った者はいないだろう」と、彼ほど正しく生き、神を畏れて、悪を避けている者はいない。お前はその信仰者ヨブを見たか、という対話の場面があります。するとサタンは神様に対して抗弁をします。そういうことはないだろう。皮には皮をと申します。まして命の為には全財産を差し出すものです、と、そんな風に抗弁します(ヨブ2:4)。サタンの言い分は、人間というのは自分の命が大事なもので、その命を守るためには全財産を投げ出しても、無くなってもいいものである。だからヨブは、神様が大事なのではなくて、自分の命が大事なのだというのです。人間の心の底にある利己主義を、サタンは冷ややかに分析しての発言でした。