はじめに

 イスラエルの国は、その首都を今も昔もエルサレムに置いております。政治の中心地ですから、当然ながらエルサレムには国会議事堂があります。その傍にこじんまりとしたバラ園があり、そこにブロンズ製のモニュメントが建てられています。モニュメントは少々変わった形をしており、まず5mくらいの高さの一本の柱がど真ん中にドーンと建てられています。そこから左右に三本の支柱が枝分かれしています。一本の柱の両側に左右3本ずつ枝が分かれていて、全部で7つの枝が形作られている、それが燭台になっています。5mですからそれほど見上げるというわけではありませんが、結構大きいものです。実際に火が灯るということはないのですが、先端には木皿がついている。このモニュメントは実は有名なものであって、大きな形をしているだけではなく、その他二つの特徴があります。


一つは、モニュメントの表面(7つの枝の表面)に、旧約聖書の時代から現代のイスラエル建国の時代に至る歴史の、有名な場面が29の場面に分かれてレリーフで刻まれている。例えば出エジプトの出来事とか、十戒が与えられた場面、又、ダビデゴリアテと戦って勝利した、そんな場面がレリーフ状に彫刻されている。そういうのは、我々はステンドグラスとか絵巻物で見るわけですが、それとは又、一風変わった感じで、イスラエルの歴史3000年以上を眺めることが出来る仕掛けになっているものです。


二つ目のモニュメントの特徴は、やはりこの燭台の枝のところ、側面に、聖書の言葉が書いてある。それが、今日読みましたゼカリヤ書4章6節の言葉。「武力によらず、権力によらず、ただ我が霊によって、と万軍の主はいわれる。」この言葉が、原文のまま、刻まれている。そんなユダヤの歴史と、聖書の中身が一体になって示されているモニュメントがあります。この七枝の燭台は、ゼカリヤに幻に示された燭台を題材にしたことが示されています。この七つの枝をもった燭台と二本のアーモンド。これがゼカリヤ書4章の最初から書いてあるところに記されていますが、それは、今日のイスラエルの国家的なシンボルになっているほどに有名な幻、図像であるといえます。


今朝は、ご一緒に、燭台に灯るともし火。このゼカリヤ書の幻の、燭台を念頭に置きながら、そこに灯るともしびの光について学びたいと思います。