常夜灯(一晩中ともす光)

 ゼカリヤ書4章の最初に、神から示された幻が記されております。


『何を見ていたのか』と尋ねたので、私は答えた。「私が見ていたのは、すべてが金でできた燭台で、頭部には容器が置かれていました。その上に七つのともし火皿が付けられており、頭部に置かれているともし火皿には七つの管が付いていました。その傍らに二本のオリーブの木があり、一つは容器の右に、一つは左に立っていました」(2-3)。


実はこういう七つの枝のある燭台を最初に作った人はモーセです。ユダヤ人達がシナイ半島の荒野を彷徨した出エジプトの時、指導者モーセが神の指示に従って、幕屋と呼ばれるテント式の移動式神殿を作りました。その時に神の指示に従って、この七つの枝が付いている燭台を作り、幕屋(移動式テント)に安置した。出エジプト記には次のように記されています。「純金で燭台を作りなさい。燭台は打ち出し作りとして、台座と支柱、萼と節と花弁は一体でなければならない。六本の支柱が左右に出るように作り、一方に三本、他方に三本付ける。・・・これらの節と支柱は主柱と一体でなければならず、燭台全体は一枚の純金の打ち出し作りとする。次に、七個のともし火皿を作り、それを上に載せて光が前方に届くようにする」(25:31−)。このように言葉が与えられたので、それを作り、幕屋とよばれる神殿に備え、火を灯し、それを常夜灯として、一晩中ともす光として、ともしたというのです。


おそらく荒野の中を彷徨するユダヤ人達にとって、真っ暗闇のなかで宿営する夜に、幕屋から光る光。七枝の燭台から光がこぼれて来る。それは、神が共にいるということをイスラエルの人々に告げ知らせるものであり、奴隷状態から自由とされ、故郷へ戻れる喜びをイスラエルの人々に実感させた、いうならば七枝の燭台に輝く光で、イスラエルの人達は自分達と神との関係を実感した、確認した、・・そういう光として、彼らは親しんだのです。