ただならぬ騒動

 エフェソの町には、あらゆる命あるものの養母とされている女神アルテミスや、女神が祭られている大きな神殿(縦横が120mと70m、高さ19mの、128本の柱に囲まれている神殿)がありました。そのエフェソの町で、パウロは「手で造ったものなどは神ではない」(26節)と語りました。その為、デメトリオ(神殿の銀の模型や、神々の銀の模造を奉納品として、又、巡礼者の土産品やお守りの作成と販売の為、多くの美術工芸職人と労働者を雇う事業家)が、キリスト教伝道の反対運動を起こしたのです。


 彼は、キリスト教伝道の結果、自分達の収入が減り、仕事の評判が悪くなり、人々から尊敬を受けなくなり、更に、アルテミスの女神の威光と有名な神殿への誇りがないがしろにされる、と、同業者達に訴えたのでした。銀細工人の抗議集会は、パウロの同行者二人を捕え、一般市民を巻き込んで野外劇場(25,000人収容)になだれ込み、集会は混乱し、大多数の者は何の為に集まったのかさえ分からなくなり、2時間もの間、「エフェソ人のアルテミスは偉い方」と、叫び続けました(34節)。