イエス様の奇跡

 イエス様のなさる奇跡は、ほとんどがイエス様の発する御言葉によってなされています。しかし今回、いやしを求めている人は、耳が聞こえず、舌が回らない人です。イエス様の言葉を聞くことが出来ないこの人の為に、イエス様はご自分がなさろうとしていることを、動作をもって示されました。「指をその両耳に差し入れ」は、ふさがっている耳の穴をあける動作であり、「つばをつけてその舌に触れる」は、乾燥して固まって動かない舌を湿らせて柔らかくして動くようにされる動作、さらに「天を仰いで」は、父なる神様の助けを祈り求め、「深く息をつき」は、元々は「嘆く、ため息をつく」という意味を含んでいますので、イエス様がこの人の境遇に共感し、罪の世界の苦しみを嘆かれていることが分かります。そして最後に、「エッファタ」と言われました。これはイエス様が日常で使われていたアラム語で「開け」という意味です。イエス様が、この世の苦しみの世界を解放し、牢獄のようなこの世の門を、神の国に向かって「開け」と宣言されているのだとも理解出来ます。イエス様は神の御子としてこの世の支配者サタンと真剣な闘いをされ、奇跡を通してこの世への救いの道を開いていこうとされていたのです。