私達の愛

 ルターは、ハイデルベルクの討論で、神の愛と私達の愛との関連について論じました。「神の愛」についてルターは、まず人間の愛との比較で語っています。「人間の愛」は見た目、感じで判断するという、大体は外から見た目、「真・善・美」で判断します。本当かどうか。美しいか醜いか。善いことか悪いことか。こういうことについて人間は見た目で判断するというのです。見るだけでなく見聞きし考える。五感を含めて、それによって価値判断をします。相手によって、その相手が自分の判断する真、善、美の価値観に合っていれば、愛するわけです。これは「対象によって起こる」とルターは言いました。私共はものを考える、ある人を見る、会う、その瞬間から価値判断をするわけです。これは人間の本質です。しかしその時、その善悪、美しいか醜いかが必ずしも真相をついているとは言えません。むしろ自分の方に曲がって理解するのです。自分にとってプラスかマイナスかが何の理屈もなしに、即刻、瞬間に、そういう枠をもって私共は理解します。ルターが言う「自分の方に曲がっている真善美」。それによってそこから愛が生まれるということは、何か真相をついている気がします。