パウロを巡る人々の思惑

 陰謀を企てたユダヤ人達は、ユダヤの最高法院(最高議会)においてパウロを有罪判決に持っていこうとした人達です。彼らには、パウロが律法をないがしろにしており、生かしておいては大変なことになるという危機感がありました。そこで神殿にいたパウロを捕え、殺そうと暴行を加えていたところ、騒ぎを聞きつけたローマの守備隊によってパウロは連行されてしまいました。当時エルサレムはローマの属州になっており、治安維持にあたるローマの守備隊は、暴動が起こることを阻止する義務を担っていました。そのため千人隊長は、ユダヤ人がパウロを訴えている内容を詳しく知りたいと思い、ユダヤの最高議会を開いて審議させました。ところが、そこではパウロが有罪かどうかよりも、パウロと同じ復活信仰を持つファリサイ派と復活を認めないサドカイ派との間に激しい議論が起こり、結局パウロの身の安全を確保するため、パウロは兵営に戻されました。