ローマ到着

 パウロが長官の父親の病を癒したことから、他の病人達もパウロのもとに来て癒してもらいました。その結果、島の人々はパウロ達に敬意を表し、三ヶ月後再びこの島から出航する時には必要なものを持ってきてくれました。そして目的の港に着いた時、パウロのことを伝え聞いた同じ信仰者の仲間達の出迎えを受けました。彼らはローマから約一日がかりで迎えに来てくれたのです。パウロは彼らを見て、神様の偉大な恵みと働きに感謝し、勇気づけられました。


 思えば、第3回の伝道旅行から帰ってまもなく、エルサレムの神殿でユダヤ人達に捕えられ、何回かの裁判を経て、皇帝に直訴したゆえの、ローマヘの旅でありました。そしてその船旅も非常に苦しいものでした。今、ローマから迎えに来た信仰の仲間達を目の前にして、ようやくパウロの忍耐をもって待った長い時間が終ったのです。ついに、長いこと祈って待っていたローマでの、十字架の福音を宣べ伝える時を迎えたのでありました。


 さて私達の人生はどうでしょうか。どんな人も、生涯ずっと順風満帆で終ることはあり得ません。今回の大地震津波や、原発事故に関して多くの人達が「想定外」という言葉を使っていますが、私達の命は、明日をもわからない命であることを多くの人々が知りました。頭でわかっていたことを身をもって体験しました。私達はパウロのように、「神、我と共にあり」というインマヌエルの信仰を持ち続ける為には、日々、御言葉によって新しくされていくことが不可欠です。そして「祈りは呼吸」と言われるように、毎朝祈りを持って一日を始め、祈りをもって一日を終えるという積み重ねによって神様への信頼が深められていくことでしょう。パウロのローマヘの旅路を守って下さった方は、私達の人生の旅路をも、もちろん嵐の中でも、必ず守って目的地に着かせて下さるお方です。