信仰と行為

  ユダに対する聖書の添え書きは、ユダの言葉は純粋なものではない、人間の好意が必ずしも純粋なものではないことを感じさせるわけです。しかしユダの本音はどうであれ、ここには「信仰と行為」あるいは「主イエスの福音と良き行為」との関係について重要なことを明らかにしているように思います。というのは、このマリアの香油のことがあった前後に、主イエスは弟子達に新しい掟をお与えになっております。その新しい掟とは「互いに愛し合いなさい。わたしがあなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなた方がわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」(13:34−35)です。
更にマタイ福音書やマルコ福音書によると、香油の出来ごとの前後に、主イエスは最も重要な二つの掟・二つの愛の戒めを示されました。
  第一の掟は、「主なる神を愛しなさい」。それに続いて第二は「隣人を自分のように愛しなさい。」でした(マルコ12:29−参照)。
主イエスは、山上の説教以来、これまでも繰り返し隣人愛を語っておられます。従ってユダが、300万円に換金して貧しい人々に施した方がキリストの教えに叶っているのではないか、という愛の実践を提案したのはわからなくはないようにも思われます。