沈黙の中のひとこと

 裁判における数多くの証言は、どれも決定的なものではありませんでした。イエス様ご自身も、虚しい証言の一つ一つには沈黙を守られました。しかし、大祭司の、「お前はほむべき方の子、メシアなのか」という問いには、敢然と肯定の返事をされました「わたしがそうである」と。
「自分は神の子である」と言うことは、ユダヤ社会では神様への最大の冒瀆と考えられていましたし、イエス様も、その言葉でご自分が死罪になることは分かっておられました。それでもこのことを否定したり、曖昧にしたりすることはなさいませんでした。偽証は罪だからです。