ザアカイに見る神の義と神の愛

 別の見方をすれば、イエス・キリストにおいて神の義と愛があらわれているということがザアカイに見た救いに具体化されている、といえないでしょうか。ザアカイの「四倍にして返す」というざんげ・・それはまさに、神の義が直接ザアカイの生活の中に反映しているともいえましょう。そして「財産の半分を施す」は、キリストの愛に基づく新しい生活への歩みを示しているといえましょう。神の裁き「正義」というものと、「神の愛」によってうながされた人間の在り方、というものがザアカイに反映しているといえます。「福音に神の義が表れる」ということはそういうことです。実際、「主イエス・キリストにおいて神の義が表れる」ということは大変重要な言葉であって、宗教改革はこの言葉から始まりました。ルターは詩編71篇の2節をロマ書1章17節のこの言葉を媒介にして理解し、それによって宗教改革へとうながされました。