95カ条の提題を出さざるを得なかった理由

 95カ条の提題を出す以前に、ルター自身の中に宗教改革的な体験・思い・認識があったということです。それがあって始めて単なる批判ではなくて主張・提言を含む提題を出すことが出来ました。ルターはどのようにしてイエス・キリストと新しく出逢ったのでしょうか。当時彼は、厳格な修道士としての生活をしながら、ヴィッテンベルク大学で聖書の講義をしていました。ルターの宗教改革的体験というのはこの大学での聖書講義(詩篇、ロマ書、ガラテヤ書、ヘブル書等)、聖書の取り組みから起こったといえます。「キリストを信じる信仰によって義と認められる」という信仰義認の体験は、新しいキリストとの出逢いでした。