百人隊長と十字架

 振り返って、百人隊長の姿と重ね合わせたいと思います。彼はイエス・キリストの言葉や行ないを聞いて知っていました。時には実際に目撃したかもしれません。知識は少なからず蓄積されていたのです。しかしイエス・キリストが神の子である。人の罪の救いをもたらす方である、ということに納得し合点していたわけではなかったのです。軍人としての職務を忠実に担い、十字架による死刑執行を遂行しました。だが、イエス・キリストの最後を目の当たりにした時、これまでの知識と経験が整理されて筋が通ったのです。イエス・キリストのそばに立ち尽くす中で「合点した」、「納得した」のです。その彼の口を突いて出てきた言葉が、「本当にこの人は神の子だった」であります。イエス・キリストの十字架が、百人隊長の心を変えたのです。