7章17−35節

17 神がアブラハムになさった約束の実現する時が近づくにつれ、民は増え、エジプト中に広がりました。

18 それは、ヨセフのことを知らない別の王が、エジプトの支配者となるまでのことでした。

19 この王は、わたしたちの同胞を欺き、先祖を虐待して乳飲み子を捨てさせ、生かしておかないようにしました。

20 このときに、モーセが生まれたのです。神の目に適った美しい子で、三か月の間、父の家で育てられ、

21 その後、捨てられたのをファラオの王女が拾い上げ、自分の子として育てたのです。

22 そして、モーセエジプト人のあらゆる教育を受け、すばらしい話や行いをする者になりました。

23 四十歳になったとき、モーセは兄弟であるイスラエルの子らを助けようと思い立ちました。

24 それで、彼らの一人が虐待されているのを見て助け、相手のエジプト人を打ち殺し、ひどい目に遭っていた人のあだを討ったのです。

25 モーセは、自分の手を通して神が兄弟たちを救おうとしておられることを、彼らが理解してくれると思いました。しかし、理解してくれませんでした。

26 次の日、モーセイスラエル人が互いに争っているところに来合わせたので、仲直りをさせようとして言いました。『君たち、兄弟どうしではないか。なぜ、傷つけ合うのだ。』

27 すると、仲間を痛めつけていた男は、モーセを突き飛ばして言いました。『だれが、お前を我々の指導者や裁判官にしたのか。

28 きのうエジプト人を殺したように、わたしを殺そうとするのか。』

29 モーセはこの言葉を聞いて、逃げ出し、そして、ミディアン地方に身を寄せている間に、二人の男の子をもうけました。

30 四十年たったとき、シナイ山に近い荒れ野において、柴の燃える炎の中で、天使がモーセの前に現れました。

31 モーセは、この光景を見て驚きました。もっとよく見ようとして近づくと、主の声が聞こえました。

32 『わたしは、あなたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』と。モーセは恐れおののいて、それ以上見ようとはしませんでした。

33 そのとき、主はこう仰せになりました。『履物を脱げ。あなたの立っている所は聖なる土地である。

34 わたしは、エジプトにいるわたしの民の不幸を確かに見届け、また、その嘆きを聞いたので、彼らを救うために降って来た。さあ、今あなたをエジプトに遣わそう。』

35 人々が、『だれが、お前を指導者や裁判官にしたのか』と言って拒んだこのモーセを、神は柴の中に現れた天使の手を通して、指導者また解放者としてお遣わしになったのです。