逆風の中での弟子達の不信仰

 イエス様から、舟に乗って向こう岸まで行くように言われた弟子達は、湖の真ん中まで来た時、逆風が吹いてこぎ悩み、大変難儀していたことが記されています。ガリラヤ湖は、どんなに悪天候でも6時間から8時間で渡り切る距離だそうです。夕方、湖の真ん中にあった船は、遅くても夜中の12時頃には岸に着いているはずでした。しかし夜が明ける頃(原語では午前3時から6時)まで船は嵐の中にありました。陸地に残られていたイエス様は、弟子達の窮状をご覧になり、夜明け頃、湖の上を歩いて弟子達の所に来られました。これは「愛」の現れであると同時に、海の波をも制する御力を抱く、創造主なる神の御子としてのお姿でもありました。(旧約聖書では創造主としての神の御力を「海を制する力をもつ」ことでも表わした:詩編107:29−32、77編、ヨブ記9章など)。湖上のイエス様は、しかし弟子達のそばを通り過ぎようとされました。恐らくイエス様は、ご自身を示しながら弟子達が従って来ることを期待されたのでしょう。しかしイエス様のお姿を見た弟子達は、幽霊だと思って恐れて叫び「おびえ」(50節)ました。