「どうか、この人達に話をさせてください」

 千人隊長は兵士達に、パウロを兵営に連行するよう命じますが、興奮した群衆の暴力が止まず、兵士達はパウロを担がなければならないほどでした。パウロが四人を連れて神殿に出かけたのはパウロの意志からではなく、エルサレム教会の指導者達の考えから始まったことです。その結果、大事件へと発展してしまったのです。しかしパウロは、これまで常に考え、祈り、大胆に行動してきました。思うような結果にならなくても、彼は「神を愛する者達、つまり、ご計画に従って召された者達には、万事が益となるように、共に働くと言うことを、私達は知っています」(ロマ書8:28)と語っています。パウロは今、 殴られ、傷だらけの中で、さらには、ユダヤ人の憎しみと怒号を受ける中で、近くにいた千人隊長に「一言お話しても良いでしょうか。」と話しかけたのです。そして自分がタルソス出身でユダヤ人であることを話し、自分の願いを申し出ます。「どうか、この人達に話をさせてください」。