パンを持ってくるのを忘れた弟子達

 舟の中で、イエス様は弟子達に「ファリサイ派の人々のパン種とヘロデのパン種に気をつけなさい」と戒められました(15節)。「パン種」とは、パンを膨らます酵母菌(イースト)で、少し入れれば大きく膨らむことから、ほんの少しで、人々や社会に広く影響を及ぼす原因となるものと考えられます。「ファリサイ派の」とは宗教における形式主義者のことで、神様を第一にしていると言いながら「律法」という決まりだけを守らせ、その精神に立ち返ることをしないため、手本となるべき彼ら自身の姿勢が間違っているので、指導される民衆にも腐敗が広がっていくのです。「ヘロデの」と言われるヘロデ王は、イエス様ご降誕の時、幼児を虐殺したヘロデ大王か、又は息子で洗礼者ヨハネを斬首したアンティパス王か、どちらにせよ、自己保身を暴力で図るヘロデの流れを指します。このような悪から弟子を守る為に「気をつけなさい」とのイエス様の戒めに対して、弟子達は「パンが一つしかない。足りない…」としか受けとめることが出来ませんでした。