「海の深い底から」

 昨年8月に、私の所属する教会の先生と共にボランティアチームに参加し、宮古に行ってきました。宮古には2月に続いて二度目です。行く途中、ある教会に寄りましたが、その教会の先生が、2月には行かなかった場所に案内して下さいました。そこでは震災時に約160名余りの人が避難しましたが、120名以上の方が津波の被害で亡くなった場所でした。その建物の中の壁は剥がされ、天井は傷つき、当時の凄まじさを まざまざと見せつけられ、恐ろしさを感じました。その場所の一番大きな部屋の中心には現在祭壇が置いてあり花が置かれています。その前で、先生が聖書を読んで下さいました。

それが今朝の旧約聖書の御言葉です「主は言われる。『バシャンの山からわたしは連れ帰ろう。海の深い底から連れ帰ろう。』」(詩編68:23)
  先生は、その場所は本当に地獄のような場所だったと、当時の状況を知る人から聴いたそうです。そしてこう語られました。「主なる神様は、私達が海の底に行っても、地獄の底に行っても必ず連れ帰るという約束をして下さっています。まさに、地獄だと言われたその場所からもイエス様が連れ帰って下さる、という約束を信じたいと思います」と。

私達はその祭壇の前で、祈りを捧げました。私は、「海の深い底から連れ帰ろう」という神様の約束の言葉に、どんなに辛く受け入れ難いような現実の中にも、主イエス・キリストの 救いの約束があることを教えられました。「海の深い底から連れ帰ろう」、そう神様は約束をして下さっている。想像を絶するような、まるで地獄のような場所にもイエス・キリストが立っておられることを知りました。
 
今日1月6日は、教会歴で「公現日」(*注)です。12月25日のクリスマスに、私達の為に生まれたイエス・キリストが、おおやけの前に「救い主」として現れた日として制定されています(*注:東方の博士が星に導かれてキリストを礼拝したことが中心となり、クリスマスから12日後の1月6日に祝う。顕現日ともいう)。
イエス・キリストは、遠い昔に生まれたお方でありながら、同時に今ここで、礼拝を守る私達の目の前に立たれています。又、イエス・キリストは、私達が人生につまずき、もうこれ以上どこにも進めないような、
思い悩みから逃れられない現実の中で、私達と共にいてくださいます。