平和

当時の敬虔なユダヤ人にとって、「平和」という言葉は旧約聖書の「シャローム」を思い起こさせました。預言者ホセアが語った「地には平和」とは実際にはどのようなことなのだろうかと考え始めるのではないでしょうか。ホセアにとって「神の平和」つまり「神のシャローム」は、ただ良い思想にとどまりません。むしろそれは、実際的で現実的な平和であり、この世界、この時代でも実現しうるものでした。ホセアの言う「シャローム・平和」とは、人々が貧困や強烈な脅しに恐れる必要がない時の状態をいうものです。ホセアのようなユダヤ人にとって「平和」とは、親しい家族や友人達と過ごす楽しさを思い起こさせる暖かさを与えるだけの、ローマ人の幻想をはるかに越えたものでした。